食物アレルギー①

[2021年01月15日]

これまでは、犬アトピー性皮膚炎のお話ばかりでしたが、今回は、食物アレルギーに

ついてお話したいと思います。食物アレルギーについてのお話は、今回初めてだと思います。

というのも、実際に食物アレルギー単独の症例というのはそう多くはないので、なんだかんだで

話題に挙げてこなかったというのがその理由です。

 

食物アレルギーは犬アトピー性皮膚炎と同様に免疫の関与する皮膚病で、お互いに痒み、皮膚炎

という似たような症状を示すため、見た目だけでどちらなのかを判断することはできません。

痒みのある皮膚炎でアレルギーを疑う場合、どちらのアレルギーなのかの鑑別や両方が併発して

いないかなどの判断をすることは、治療の上で非常に大切になります。

食物アレルギー単独の症例はそう多くはないと言いましたが、併発している症例はそこそこ見られ

ます。

食物アレルギーの併発を見逃して、犬アトピー性皮膚炎だけだと診断してしまうと、治療がなかなか

うまくいきません。食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎は、原因も治療法も全く異なるため、両方

が併発していることを見逃してしまうと、必要以上に痒み止めのお薬を使わなくてはならなくなった

り、場合によっては、痒み止めのお薬を使っているのに全然よくならないということが起こってしま

います。ですので、犬アトピー性皮膚炎の診断をする上でも、食物アレルギーの有無を判断することは

とても大切なことになります。

 

食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎の違いは、何だと思いますか?

普通に考えると、食物アレルギーは食物抗原が原因で、犬アトピー性皮膚炎は食物以外の環境抗原

が原因という答えが一般的かなと思います。動物病院でもそのように説明されることが多いかと思い

ます。これは原因による違いです。治療面から考えると、”犬アトピー性皮膚炎は治らないが、食物

アレルギーは治る”ということが両者の大きな違いになります。つまり、犬アトピー性皮膚炎は、

診断がついても皮膚バリアの破綻など非アレルギー的な側面も関与しているため、生涯に渡って投薬

を含め、スキンケアなど何かしらの治療を継続していく必要がありますが、食物アレルギーに関しては

アレルギーの元になっている食事を食べさえしなければ症状は出ないので診断がついたら投薬等の治療

の必要がなくなります。これは結構大きな違いですよね。

今回は、ここまでです。ちょっと内容が多いので何回かに分けて、診断を含め実際の症例などのご紹介

をしていきたいと思います。

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫のアレルギー性皮膚疾患、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー

などの痒みのある皮膚病の治療に力を入れています。

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