食物アレルギー②

[2021年01月16日]

今日から、大学共通テストが始まったみたいですね。センター試験から移行後初

に加え、コロナ禍も重なり、受験生の皆さんは精神的にも大変だと思いますが

頑張ってください。

 

さて、今回は食物アレルギーの第2弾です。

その前にちょっと言葉の説明をさせていただきたいと思います。

食べ物もしくはその消化物によって体に起こる反応を食物有害反応と言います。症状としては

下痢や嘔吐などの消化器症状、蕁麻疹などの皮膚症状、咳などの呼吸器症状などが起こり得ます。

この食物有害反応は、さらに原因が食物中の毒物の影響の有無によるのかどうかによりさらに

2つに分かれます。つまり、食中毒やカビ毒など毒性物質による反応と非毒性物質による反応です。

さらに、非毒性物質による反応は、免疫を介した反応と免疫を介さない反応の2つに分かれます。

前者が食物アレルギーで、後者が食物不耐性です。食物不耐性は、乳製品を食べると下痢をする

乳糖不耐症やサバやキノコなどヒスタミンを多く含む食品を食べて蕁麻疹が出たりする症状など

がその代表的なものになります。

一般的に動物病院で問題となる皮膚症状を引き起こす食物有害反応は、食物アレルギーがほとんど

です。

 

食物アレルギーには、IgEを介して反応するⅠ型過敏症とIgEを介さないで反応するⅣ型過敏症の

2種類が存在しますが、その両方が同時に関与している場合もあります。

バラエティ番組でたまにタレントさんの食べ物のアレルギーの検査をして、カニがだめだとか

鶏肉がだめだとか言ってるのを見たことがありませんか?あれは、IgEとういう抗体の検査を

行ってその結果をみてアレルギーだとかそうじゃないとか言っています。

このIgEを介したアレルギーをⅠ型過敏症と言いますが、人の食物アレルギーはほとんどがこのⅠ型

過敏症です。では、犬の食物アレルギーはどうかというと、このIgEを介したⅠ型過敏症は少なく、

IgEを介さないⅣ型過敏症のほうが多く、その点で人とはかなり異なっています。

また、もう1つ犬と人の食物アレルギーとの違いがあります。人では乳幼児の頃の食物アレルギーが

成長するにしたがって症状がなくなっていくことが結構あります。このことを専門用語でアウトグロー

と言います。今のところ犬では、このアウトグローを確認したという報告はありません。

個人的には、犬にもアウトグローがあってもおかしくはないのかなと思っています。ひょっとしたら

今後、犬でのアウトグローの報告が出てくるかもしれません。

 

食物アレルギーは、獣医療だけでなく人の医療においてもまだすべてが解明されてはいない分野

です。とは言え、いろいろとわかってきていることもあり、勉強してみるとなかなか面白いです。

腸と皮膚、腸と免疫はかなり密接につながっているのだと実感させられます。

今回はここまでです。続きはまた次回ですのでお楽しみに。

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫のアレルギー性皮膚疾患、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー

などの痒みのある皮膚病の治療に力を入れています。

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