皮膚病治療(プードル編)

[2021年03月21日]

今回は、トイ・プードルの皮膚病治療のご紹介をしたいと思います。

トイ・プードルは、人気犬種ということもあり飼育頭数自体が多いからかもしれませんが

痒みを主訴として来院されることがとても多い犬種です。

一番多く見るのが、アレルギー性皮膚炎です。トイ・プードルの場合、脂漏を伴ったべたべた

した皮膚症状をしていることも多く、痒み止めなどの投薬治療のみではコントロールが難しい

ことが多々あります。

 

それでは治療症例のご紹介をいたします。今回の症例は、1月初旬に宮崎から来院されました。

トイ・プードル  メス(避妊済み)  レスキュー犬で、推定7歳

譲渡された時から皮膚が悪かった。譲渡以前の病歴は不明。

レスキュー前の飼育環境は、かなり劣悪だったかもとのことでした。

来院時の症状は、首、脇、肘、肛門周囲の皮膚肥厚とべたつき 指間炎 下腹部の色素沈着

左右の重度外耳炎でした。

レスキュー犬のため経過がよくわからないので、臨床症状の確認と皮膚押捺検査や皮膚搔破検査を

行って感染症の除外をした上で、アレルギー性皮膚炎と判断しました。

次のステップとして、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギーのどちらなのかを診断するために検査

することにしました。

この症例のように中年齢以降の場合、食物アレルギーの有無はしっかりと確認しておく必要があり

ます。経験上、食物アレルギーの多くは中年齢以降の発症が多く、最初にしっかりと見ておかないと

後々、治療がうまくいかなくなることがよくあります。

しかし、食物アレルギーの診断はいろいろな制約があったり、ちょっと煩雑で時間がかかるため

診断をつけるのが一番難しいと私は思っています。安易にアミノペプチドフォーミュラや低分子プロテイン、z/d

ウルトラといった加水分解食を食べさせただけではほとんどが失敗して、見逃してしまうか、治療に

まったく関係のない高いフードを延々と食べさせられてしまうはめになってしまいます。

現時点ではどの犬にも反応しない万能食は存在しませんので、個々の症例それぞれでしっかりと

目的をもって検査するフードを選択する必要があります。1種類のフードだけではなく、2,3種類

試さないといけない場合もあります。食物アレルギーの診断で一番難しいのがこのフードの選択で

あり、これが一番重要なところでもあります。

 

この子は、しっかりと検査するためのフードを吟味したうえで、除去食試験を行い、初診から約1か月半

かかりましたが、犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの併発と診断しました。

ご飯の影響がなくなっただけでもかなり痒みを引かせることができ、投薬も最小限で済ませることが

出来るようになりました。

現在、痒みはほぼなく、とてもよくコントロールできています。

 

初診時       →       1か月半後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫のアレルギー性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー

などの痒みのある皮膚病の治療に力を入れています。

霧島市以外の遠方でも診察ご希望の方は、一度お問い合わせください。

なお、皮膚科診療の初診は、時間がかかるため予約制とさせていただいております。

皮膚科診察(初診)ご希望の方は、お電話にてご予約をお願いいたします。

ご予約なしでご来院された場合、十分な時間がとれないため詳しい検査はできず、

お話とお薬の処方のみとなることもございますので予めご了承ください。