遺伝子

[2017年07月05日]

昨日の台風はあっという間に日本を横断していきましたね。交通機関にもかなりの

影響がでていたみたいです。明日は東京に出張だったので私的にはぎりぎりセーフ

でした。毎月最低でも1回は県外に出張するので、この時期の出張は毎年冷や冷や

ものです。今月末は、大阪なのでまた台風来なきゃいいのですが。

 

話は変わりますが、私はもともと鹿児島大学の工学部に入学したのですが、

思い立って再受験し獣医学部に再入学しました。方向転換しようと思ったきっかけは

いくつかあるのですが、その1つが大学の教養課程で出会った生物学の講義でした。

高校時代はごりごりの理系で化学と物理を選択していましたので、大学で初めて

生物学を学んだのですがこれがおもしろくて。遺伝子に書かれているDNAの塩基配列

が暗号解読しているみたいな感覚で、何でこんな簡単なものの組み合わせでウイルスの

ような最小のものから人間ような複雑な生物までを形作り、活動させているのだと。

DNAという同じ材料なのにその組み合わせによって、まったく違うものができあがる

ことに驚きと分子生物学という学問の基礎をつくったワトソン博士とクリック博士って

すごい人達だなと感じた記憶があります。生物学の講義が毎週楽しみでした。

講義後、先生のところにちょくちょく質問に行っていたのを思い出します。

理学部の生物の先生でしたが、今でもお元気でしょうか。

 

今朝の新聞に、”家畜が人を恐れない遺伝子”を国立遺伝学研究所の小出剛教授のグループが

マウスを使った実験で明らかにしたというニュースが出ていました。野生のマウスを祖先とした

16匹から人に近づいてくるマウスを選び交配を繰り返して、野生のマウスを普通に交配した

ものと遺伝子配列を比較して、特定の遺伝子領域を見つけたそうです。

この領域は、ほとんどのイヌが持っている遺伝子の領域とほぼ一致しているそうです。

また、この領域にはセロトニンという神経伝達物質の量を調節する遺伝子も含まれているそうです。

セロトニンは、三大神経伝達物質の1つで社会性や不安などにかかわる物質です。犬の分離不安症や

攻撃性などの問題行動の治療に選択的セロトニン再取り込み阻害薬という薬を用いることがありますが

これはシナプス間のセロトニン量を増やすお薬です。

この研究では、将来的にシカなどの野生動物の家畜化にも応用できると期待されているそうですが、

私的には犬などすでに家畜化されている動物での問題行動の治療に何かしら応用できないのか、

人間に対して異常な恐怖心をもつ犬のこの部分の遺伝子配列はどのようになっているのか、ただの

環境要因のみの影響なのかなど興味のあるところです。

 

ちなみに、猫好きな方のために。猫は人間が家畜化したのではなく、猫自ら人間と共存する道を

選んだということがわかっています。イエネコ(家畜化した猫)の拡散に関する研究におけるDNA

分析でわかったそうです。現在の猫と野生のヤマネコの遺伝子はほとんど変わりがないそうです。

紀元前の大昔より農作物をネズミから守りたい退治したいという人間側と猫との間で互いに利益のある

共存関係を築く中で自然と人間の生活圏の中に入ってきたといわれています。

だとしたら、猫が自由で気まぐれなのは遺伝学的には、ごく当たり前なことなのでしょうね。