骨折

[2017年06月30日]

奄美では、梅雨が明けたみたいですね!国分は、昨日も今日も湿気がある上に日が照って

むしむししていますが、バテていませんか?私は、昨日お休みだったので久々にビニール

プールを出してきて娘とベランダで水遊びをしました。早々に夏気分で、気持ちよかったです!

 

では、本題に入りますが、今回は久々に治療のお話です。以前もお話したのですが、

またちょうど最近猫の骨折を治療しましたので、前回の骨折のお話にちょっと追加して

お話したいと思います。

 

骨折には、同じものは1つもありません。骨自体、前足、後足、骨盤、椎骨など部位

により形がまったく異なりますし、同じ骨が折れたとしても折れ方は毎回異なります。

なので、治療方法も毎回違います。それぞれの骨折に適するさまざまな手術手技を駆使して

治療を行わなければなりません。

 

四肢の骨折の中でも最も難易度が高い部位が上腕骨です。その理由は、上腕骨の

解剖学的な理由によります。この部位は四肢の骨で唯一、術野を横断する筋肉と神経が

あるために十分な視野と術野が確保しにくいということが1つ、もう1つは上腕骨の形が

複雑であるということによります。複雑な形であるがゆえに、手術手技も煩雑になります。

特に肘の関節は複雑な形の骨が3本合わさってできていますので、肘関節内での骨折の場合

整復は正確で強固な再建を必要とします。

上腕骨骨折は、骨折のバリエーションも多いのでさまざまな治療手技の適応を判断して、

その骨折パターンから最も有効な手技を選択する必要があります。

 

以前、ブログで紹介した上腕骨骨折の猫の骨折は、遠位端(手先寄り)粉砕骨折

(骨片がばらばら)でしたが、骨折パターン、年齢、性格、生活環境、術後管理などを

すべて考慮して創外固定という方法を選択しました。骨折部位は一切触らずにレントゲン

透視装置を使って骨の位置を確認しながらピンを打つ部位のみ小切開をして治療しました。

なんか金属だらけのロボットみたいになっていますけどね。

この治療法の特徴は、骨折部位への非介入、軟部組織の温存、骨への血行を維持させる

という、生物学的癒合を目的としているということです。つまり、最小侵襲で最小限の

固定により、最大限の治療効果を得ることを目的とした治療法です。

術後は、骨の修復を見ながら徐々にピンを抜いてグレードダウン(段階的除去)していき、

骨がしっかり出来上がったところで完全除去しました。

整復前2整復後2

 

 

 

 

 

 

 

今回は、若い猫で上腕骨の中央よりちょっと手先寄りで斜骨折といって斜めに折れる

骨折パターンでした。下のレントゲンのように髄内ピンとワイヤーを併用して治療

しました。古典的な方法ですが、若くて骨が早くつくだろうという予想とおとなしい

性格だったということと費用をなるべく抑えたいということ、手術時間をなるべく

短くしたいということでこの方法を選択しました。

もちろん長管骨の長斜骨折という骨折パターンだったということで髄内ピンとワイヤー

の併用が適応可能であるという前提があっての上ですが。

 

上腕骨骨折術前    上腕骨骨折術後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレーティングも適応可能でしたが、材料代がかかるのでこの方法よりも費用がかかる

ということと作業がより煩雑になるということで今回は、髄内ピンとワイヤーの併用を

採用しました。

もし、これが高齢だったり肥満、活発で落ち着かない猫だったらプレーティングを選択

していたかもしれません。プレーティングはより強固な固定を可能としますので、骨が

くっつくのに時間のかかる高齢動物、肥満で過重負荷がかかりそうな動物、術後安静が

困難な動物では適応を考えます。

骨折パターンだけでなく、さまざまな状況により適応を考えながら治療しているというわけです。

そこが骨折治療の難しいところでもあり、おもしろいところでもあるのかもしれません。

この子は、無事1ヵ月後にインプラントを除去して今は普通の生活を送っています。