脱毛⑤

[2021年06月01日]

さて、今回は脱毛の第5回目(副腎皮質機能亢進症の第4回目)になります。

前回の症例と同様、今回も医原性クッシング症候群のフレンチブルドックの症例です。

前回の症例の症状はまだ軽いほうの部類でしたが、今回の症例はちょっと激しい症状です。

ちなみに2例とも鹿児島市内からのご来院でした。

 

症例②

フレンチブルドック メス(避妊済) 6歳9か月齢(当院初診時)

初発;8か齢頃から痒みと皮膚炎が認められる 症状は徐々に悪化し、今は通年性の症状

治療は、抗生剤と痒み止めのお薬。投薬すると良くなるが再発を繰り返す。

来院時の症状は、全身的に毛が薄く(脱毛)、皮膚自体も薄くなっていました。

腹部、頭部にかけて広範囲に石灰沈着症が認められました。

問診により、多飲多尿と多食の症状がありました。石灰沈着は当院に来られる4か月くらい

前から始まり、前医にて皮膚病理検査をしたとの事でした。

症例①の時と同様にアレルギー性皮膚炎と医原性クッシング症候群を疑い、検査をしたと

ころ、予想通り医原性クッシング症候群と診断し、まずは副腎のリハビリ治療から開始する

ことにしました。

 

初診時の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初診から2か月後の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいぶ発毛してきています。石灰沈着は、かなり重度でしたのでまだ残っていますが、

腹部の石灰沈着部の赤みはだいぶ引いています。

ちなみに、口と眼の周囲の脱毛が出てきていますが、これは医原性クッシング症候群の

治療のためにステロイドを少しずつ減らしていったため、アレルギーの症状が増悪した

からです。

医原性クッシング症候群が落ち着いてから、アレルギー検査、除去食試験を行い、最終的に

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの併発と診断しました。

当院に来られてから、今年で5年目になりますがだいたい月1回の診察を継続しています。

今のところは、多少の痒みの波はありますが、それなりに落ち着いてアレルギーと

うまく付き合いながら生活しています。

ちょうど、先日来院されましたので久しぶりに写真を撮らせていただきました。

今回、ブログを書くにあたって5年前の写真を引っ張り出してきましたが、最近の皮膚の

状態しか覚えていなかったので、改めて見ると初診時はかなりひどい皮膚の状態だったんだと

ちょっとびっくしりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は、自然発生クッシング症候群のご紹介をしたいと思います。

どうぞ、お楽しみに!

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬と猫の皮膚病、内分泌疾患による脱毛症の治療に

力を入れています。

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