春の交通安全運動

[2021年04月25日]

今日も暖かかったですね。

春は猫の恋の季節、避妊去勢のお問い合わせが増える時期でもあります。

また、活動も活発になるせいかお外に出てしまう猫の交通事故も多くなる時期です。

ちなみに春の交通安全運動週間は4月の6日から15日まででした。毎年、うなぎの尾方

さんの前でみなさん黄色旗を掲げていらっしゃいます。

猫の交通事故で多く見られるのが、骨盤骨折、腹壁ヘルニア、横隔膜ヘルニア、下顎など

頭部や四肢の骨折などです。猫は、体が柔らかいせいか、外見上外傷は全くなく、骨折だけ

している場合もあります。

四肢の骨折や横隔膜ヘルニア、腹壁ヘルニアは、以前ブログにてご紹介させていただきました。

今回は、頭部の骨折の治療をした症例のご紹介をさせていただきます。

 

症例は、猫で外出して帰ってきたら、口から出血していたとのことで来院されました。

診察、検査を行ったところ、硬口蓋と鼻骨の正中線での骨折と下顎靱帯結合の分離、犬歯の破折

が認められました。この2か所の骨折は猫の外傷による骨折の中では、まあまあ多く認められます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に硬口蓋の正中線での骨折は、高所落下症候群と呼ばれる外傷でよく見られます。

上の写真のように口の上側の硬い部分がぱっくりと割れる骨折です。この写真のように

隙間が広い場合、外科的に整復する必要があります。

下顎靱帯結合の分離とは、下顎の前方の前歯の所の真ん中での骨折です。

 

 

 

 

 

 

 

硬口蓋の骨折の治療は、上の写真のようにピンを刺入して、ワイヤーを8の字にかけて

圧着させて行います。2か所に同じ処置をしています。ピンの刺入は歯根を傷つけない

よう行う必要があります。特に奥側のピンニングは眼窩を貫通しないように注意深く

行わなければならないので簡単そうに見えますが、意外とこれが難しいんです。

 

 

 

 

 

 

下顎靱帯結合の分離は、上の写真のように下顎の下からワイヤーを下顎骨に添わして

挿入して骨同士を圧着させます。

犬歯の破折部分は、ピンとワイヤーを外す時にコンポジットレジンでキャッピングを

行いました。

 

 

 

 

 

 

最終的には下の写真のようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、治癒完了です。

どうしてもお外に出てしまう猫ちゃんもいるので仕方がないのですが、やはり交通事故の

リスクを考えると、可能ならば室内飼育のほうが安心ですよね。

今回も皮膚以外のご紹介でした。