子犬の皮膚炎

[2020年05月02日]

今回は、子犬の皮膚病の症例を紹介します。

通常よくみる子犬の皮膚病は、細菌や真菌、外部寄生虫などよる感染性

皮膚疾患がほとんどですが、今回はそれら以外のちょっと珍しい皮膚病です。

出水市からわざわざご来院いただきました。

犬種は雑種、性別はメス、初診時2か月齢でした。愛護センターから譲渡された

ばかりだとのことでした。

当院初診時の主訴は、全身の痒みと背中、左右の耳にフケが多いということでした。

眼周囲と口周囲が若干むくんで脱毛していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回目の診療時の写真です。1回目の診察から、2日後くらいに急変し、皮膚病が

悪化しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初診時より、かなり悪化しています。眼と口周囲の腫脹と脱毛がひどくなり、左右耳介

には化膿性の浸出液を認めました。元気もなく、食欲も低下しているとのことでした。

触診にて、下顎リンパ節の腫脹も認めました。

押捺塗抹による細胞診にて、非変性好中球およびマクロファージからなる化膿性肉芽腫性

炎症像が認められました。

 

 

 

 

 

 

若齢犬での発症と特徴的な臨床像、病態の急性な進行および下顎リンパ節の腫脹が

認められたことから、”若年性無菌性肉芽腫性皮膚炎およびリンパ節炎”と診断しました。

この皮膚病は、鑑別診断に細菌性毛包炎、毛包虫症、皮膚糸状菌症、異物、薬物有害反応、

非感染性脂肪織炎などがあります。

確定診断には、皮膚病理組織学的検査が必要となりますが、病変の部位がまぶたや鼻周囲

耳介など生検するのに難しいということ、子犬で小さいということもあり、実際は実施が難しい

ことが多いです。そのため、特徴的な経過や症状、感染性皮膚疾患の除外により、暫定的に

診断を行います。

この皮膚病は、全身症状を伴い、病態も急性に進行し、さらに治療が遅れると治癒後に強い

瘢痕形成を起こすことがありますので、なるべく早く治療を開始する必要があります。

治療は、ステロイドによる免疫抑制療法を行います。詳しい原因はわかっていませんが

ステロイドに反応することから免疫学的機序が関与していると考えられています。

治療後の写真です。きれいになりました。痒みもなく無事治療終了となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の樹動物病院は、鹿児島で若年性皮膚疾患の治療にも力を入れています。

霧島市以外の遠方でも診察ご希望の方は、一度お問い合わせください。

なお、皮膚科診療の初診は、時間がかかるため予約制とさせていただいております。

皮膚科診察(初診)ご希望の方は、お電話にてご予約をお願いいたします。ご予約なしでご来院された場合、

詳しい検査はできず、お話とお薬の処方のみとなることもございますので予めご了承ください。