犬アトピー性皮膚炎

[2020年08月31日]

8月も今日で最後、新型コロナウイルスのせいで短くなった子供たちの夏休みも

今日までですね。

さて、今回はひさびさに皮膚科のお話をしたいと思います。梅雨が明け夏となり、

今まさに皮膚病のハイシーズンとなっています。膿皮症やノミなどの外部寄生虫性皮膚疾患

アトピー性皮膚炎の悪化など痒みを呈する皮膚病が増えています。

今回は、犬アトピー性皮膚炎の症例を紹介したいと思いますが、その前にちょっと病気のお話

をしたいと思います。

犬アトピー性皮膚炎に関しては、前のブログでも何回か紹介させていただいていますが、基本的

には完治しない皮膚病の1つです。犬アトピー性皮膚炎は多因子性疾患であり、単純にアレルギー

的な側面だけの問題ではなく、皮膚バリア機能の破綻などの非アレルギー的な側面も関与している

ことがわかってきています。アレルゲンの暴露を避けただけでは治療がうまくいかないことは、

このことからも理解できるかと思います。最近では、皮膚バリア機能をなるべく正常に近づけること

が大事だということがわかってきて、スキンケアの重要性が獣医療でも認識されています。

 

犬アトピー性皮膚炎の治療では、痒みがひどい時には薬で抑えていくことになります。

最近では、犬アトピー性皮膚炎の痒みに対する治療薬の選択肢が増えてきました。治療していく

私たちや飼主さんにとっては、とても喜ばしいことです。

痒みを抑える薬は、今のところステロイド、シクロスポリン、オクラシチニブ、ロキベトマブの

4つが基本となっています。ちなみに右に

いくほど新しいお薬で、薬が効果を発揮する

部位が狭くより根本に近いところに効くように

なっています。つまり、右に行くほど余計な

ところに薬が働かないため、副作用が少なく

安全性が高くなります。

しかし、新しい薬だからよく効くのかというとそういうことはなく、どの薬も大体6~7割前後くらい

の効果と言われています。これは、痒みを6~7割抑えるということではなく、痒みを抑えられる症例が

6~7割しかないという意味です。つまり完璧な薬は存在しないということです。

治療薬の選択には、痒みの程度、皮膚の状態などにより、薬の組み合わせを変えたり、内服薬のみでは

なく、外用薬をうまく併用したりすることも重要ですが、それだけではなくアレルゲンの回避、

ストレスなども含めた悪化要因の除去、スキンケア療法の同時進行が大切になってきます。

これによって単一のお薬だけの治療よりも、効果を上げることができます。

 

犬アトピー性皮膚炎の治療では、痒みがあるときの治療より、むしろ痒みがなく皮膚の見た目が

きれいな時の治療のほうが大切になります。しかし、経験上飼主さんの多くは、痒いときには治療を

頑張るのですが、痒みがなくなるとよくなったと思い治療をやめてしまいます。何度も言いますが

犬アトピー性皮膚炎は完治しません。うまく付き合っていかなければなりません。

犬アトピー性皮膚炎の治療は、長期戦になるため、いかにいい状態を長くして再発するまでの

期間を長くできるか、再発しても重症化させないようにすることが大事です。

そのためには、治療内容を症例ごと、また同じ症例であっても皮膚の状況に応じてその都度

変えていく必要があります。動物病院で使える薬はどこも同じなのに治療効果が異なるのは、

この治療のさじ加減によるものです。

次回は、うちで治療した症例のご紹介をしたいと思います。

 

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫のアレルギー性皮膚疾患、犬アトピー性皮膚炎などの痒みのある

皮膚病の治療に力を入れています。

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