ミニチュアダックスの脂漏性皮膚炎

[2019年02月26日]

こんにちは。昨日は、国立大学の2次試験初日でしたね。

結果はどうあれとりあえずお疲れ様でした。面接などで今日も試験がある方もいるかと

思いますが、もう一分張りがんばってください。

 

さて、今回はミニチュア・ダックスフンドの脂漏性皮膚炎の症例をご紹介します。

この症例はちょっと前の症例ですが、脂漏性皮膚炎の症例はダックス以外の犬種も

当院にはたくさん来院されます。

 

<症例> ミニチュア・ダックスフンド  避妊メス 12歳10ヶ月(初診時)

初発;1歳くらい  症状は通年性  夏に悪化 10歳過ぎてから特に悪化

ベタベタして臭い 治療しているがぜんぜんよくならない

外耳炎、腹部、脇、頚、目・口周囲、四肢端、陰部周りなどを痒がる

週に1回シャンプー、痒み止めの塗り薬で治療しているが、あまり良くならない

 

治療前後の写真です。 左;治療前   右;治療後(約1ヵ月後)

 

どうでしょうか? 見違えるようにきれいになりました。

こんなにきれいになったのは、ここ何年か見たことなかったと飼い主さんにはとても

喜んでいただきました。

 

脂漏性皮膚炎は、ミニチュア・ダックスだけでなく、トイ・プードル、シーズー、コッカースパニエル

柴犬、チワワ、ウエスティ、パグなどでもよく見られます。

脂漏性皮膚炎は、脂漏症とも言われますが病名ではありません。見た目を示す症候名です。

脂漏症には2タイプあります。今回の症例のようにベタベタするタイプとフケがたくさん

みられるカサカサしたタイプの2つです。

 

治療法は、教科書的には脂漏症の原疾患の治療とシャンプー療法ということになっていますが、

実際には教科書とおりに治療してもなかなかうまくいきません。

その理由の1つは治すべき原疾患がみつからないことがあること、もう1つは原疾患がわかっても

アレルギーなど完治できない病気であることが考えられます。また、性ホルモン異常や甲状腺

機能低下症などの内分泌疾患や細菌などの二次感染も悪化要因となっている場合もあり、これらの

悪化要因も一緒にコントロールできないと治療がうまくいきません。

あとは原疾患以外の治療も重要なのですが、これは教科書には書いていないちょっと違う視点から

の治療アプローチが必要となります。

飲み薬や塗り薬、シャンプーなどをただ漫然としていても軽症例では良化することはあっても、

重症例ではいい結果はなかなかでません。

 

私も脂漏性皮膚炎の治療には、いろいろと悩まされてきました。簡単に維持できる症例やなかなか

うまく維持できない症例を経験してきましたが、いろいろと試行錯誤して、やっとそこそこの治療結果

が出せるようになってきました。しかし、正直、今行なっている治療もまだまだ発展途上だと思って

います。医療分野含め、他分野から治療に使えそうな方法がないか日々情報収集しています。

また、犬種によって治療アプローチを変えないとうまくいなかいことがあることもわかってきました。

犬種によって治療反応がそれぞれ異なるのには、遺伝素因、肌質、毛質、犬種特有の気質などが関係

しているのだろうと考えています。

 

脂漏性皮膚炎は当院でも転院症例の多い皮膚病の1つです。痒み止めや抗生剤などの内服療法

や外用療法、シャンプーだけでは決してよくはなりません。

発症してから、時間が経っていればいるほど、病態も複雑化しており、根気強い治療が必要となる

ことが多々あります。

脂漏性皮膚炎でお困りの方は、遠慮なくご相談ください。初診時は、問診、一般皮膚検査や

血液検査等で時間がかかることがありますので予約診療をおすすめいたします。

 

森の樹動物病院は、鹿児島でアレルギーやアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎(脂漏症)などの痒み

のある皮膚病治療に力を入れています。

霧島市以外の遠方でも診察ご希望の方は、一度お問い合わせください。