痒みという名の誘惑

[2019年01月29日]

今年のセンター試験は、暖かかくてよかったですね。

受験生の皆さん、これから2次試験に向けて最後の追い込みがんばってください。

さて、今回は、またまた皮膚病の症例についてのお話です。

この症例は、痒みと脱毛を主訴として当院に来るまでに約2ヶ月間治療を行っていました

が、全然よくならず、2つの病院を経て最終的に当院に来られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痒そうですよね。顔においてはかなり掻き壊している様子でした。だんだん範囲が広がり

痒みもひどくなってきているそうで、飼い主さんもなんとかならないものかということで

当院に来られたとのことでした。

治療歴をお聞きすると、ステロイドや抗真菌薬、抗生剤などが処方されていましたが

最終的には、カビではないかということで治療されていたということです。

まずは、見た目から痒みを示す炎症性皮膚疾患ですので鑑別疾患を考えなければなりません。

鑑別診断リストは、下記の大きく4つが考えられます。

①細菌、真菌、ウイルス、外部寄生虫疾患などの感染性疾患

②ノミ、食物、接触性、アトピーなどのアレルギー性疾患

③自己免疫性疾患

④腫瘍性疾患

痒みを示す炎症性皮膚疾患でよく目にするものは①と②です。80~90%はこの2つと言っても

過言ではないと思います。しかし、③と④も稀ではありますが忘れてはいけない皮膚疾患です。

ちなみに以前ブログで紹介した症例は、細菌感染の治療が行われておりましたが自己免疫性皮膚疾患

の落葉状天疱瘡でした。④の腫瘍性皮膚疾患も要注意です。以前私が勤めていた病院で経験した症例

ですが他院でアレルギーを疑い治療していたのに微妙によくなるけど完治せず、転院されてきた症例が

いました。見た目がアレルギーっぽくなかったので組織生検を行ったところ、皮膚型リンパ腫でした。

皮膚型リンパ腫は予後不良です。その旨お話して治療開始しましたが、その子は治療開始して1か月

で死亡しました。飼い主さんは亡くなったのは残念だが、原因がはっきり分かり、余生を覚悟して

看取ることができただけでも良かったということを言われたのを覚えています。

痒みという症状は、一見わかりやすい症状の1つではありますが、診断をつける上で非常に危険な

症状でもあると私は考えています。安易に感染症やアレルギーだろうと考えると足元をすくわれて

しまうことがあるからです。ですので、主訴が痒みという症例が来た時に、私は毎回その”痒み”に

惑わされないように気を付けるようにしています。

時間が経っていると痒みの原因も1つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っていることも

あります。そういう時には、絡み合った原因を1つづつほどいていかなければなりません。

私の診断法はある程度ルーチン化されていますが、複雑化しているときほどルーチン検査が

大事だと思います。たまには、いきなり組織生検とトリッキーなことをすることもありますが

そこに行きつくまでにある程度の鑑別を頭の中で行っています。理由なくすることはありません。

皮膚は、症状が目で確認できる数少ない臓器の1つですが、だからこそ騙される可能性もあります。

今回、私が診断できたのはルーチン検査を怠らず、診断の手順をしっかりと守ったからです。

特別なことは何もしておりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世の中には、いろんな誘惑がありますが注意していても惑わされることも多々ありますので

意識して注意する必要があるのでしょうね。

今回の症例は、最終的には痒みも落ち着きました。痒みはワンちゃんもそうですが、それを

見ている飼主さんにとってもストレスですので、よくなって本当によかったです。

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫の痒い皮膚病の治療に力を入れています。

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