無菌性結節性脂肪織炎

[2012年04月16日]

今回は、前回学会報告で取り上げた”脂肪織炎”という病気について

もうちょっと詳しくお話したいと思います。

脂肪織炎、特に特発性の脂肪織炎は無菌性結節性脂肪織炎とも言われます。この無菌性結節性脂肪織炎は、皮下脂肪組織における炎症性疾患です。免疫介在性と考えられていますが今のところ原因は不明です。犬と猫での発生はまれとされていますが、最近増加してきていると思われます。

特に人気犬種の1つであるミニチュアダックスフンドはこの疾患の好発犬種と

されており、再発率も高いといわれております。好発犬種としてはミニ

チュアダックスフンドの他、W.コーギーもあげられますが、いろいろな報告によるとシーズー、シェルティー、柴犬、チワワ、ビションフリーゼ、

ポメラニアンなど多様な犬種で発生が認められています。

手術時に用いられる絹糸による異物反応によっても起こることがあります。

特にミニチュアダックスフンドにおいてはその発生率が多いと言われておりますが、最近の報告によると絹糸に限らず様々な縫合糸を用いても発生していることから、手術時の脂肪組織への侵襲がその引き金になっているのではないかとも考えられています。本疾患に関しては、原因やその病態がまだよくわかってないことも多く、今後の疫学調査や研究によって今までわからなかったことが、わかってくるかもしれません。

 

●症状●
体にしこりができ、ちょっと様子をみていたらだんだんと大きくなったり、他の場所にも同じようなしこりができ、ある日突然しこりがはじけて膿が出てきたといったことがこの病気の典型的な症状です。
最初は体にしこりを触知することで気づくことが多いため、皮膚の腫瘍にも見え、また時間が経つとしこりがはじけて排膿するため、咬傷や外傷による感染と間違えて来院されることも多いです。
また、発熱や元気消失、食欲不振などの全身症状が皮膚症状以外にもみられることがあります。

 

 

●診断●
①針で採取した膿をスライドグラスに塗抹し、顕微鏡で観察すると写真の

ような好中球やマクロファージといった炎症細胞が認められます。細菌は認められません

 

②細菌培養、真菌培養により、感染がないことを確認します。

 

③皮膚の組織生検により、病理学的検査を行います。

 

④他の鑑別疾患を除外します。感染症(細菌、真菌、マイコバクテリア)、異物反応、注射後反応、薬疹、腫瘍、ビタミンE欠乏症、全身性エリテマトーデスなど

 

 

●治療●

単発性病変の場合、外科切除が行われることがありますが、再発率が高いと言われております。

再発性病変や多発性病変の場合、免疫抑制療法を行います。最近の報告によると、投薬の必要がなくなるのは約2割程度といわれており、ほとんどの症例において長期にわたる免疫抑制療法が必要となる可能性があります。
免疫抑制療法では、一般的にプレドニゾロンを用いて治療を行っていきます。しかし、上記のように治療が長期にわたる場合、ステロイドの減量、休薬を期待してアザチオプリン、シクロスポリン、テトラサイクリン/ナイアシンアミド、ダプソン(レクチゾール)、ビタミンEなどを併用する場合もあります。

 

♦治療経過♦

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