猫の皮膚病②

[2021年04月17日]

すいません。ブログの編集途中で下書き保存したはずが、なぜかボタンを押し間違えて

途中で公開してしまっていたようです。

昨日続きを書こうとしたときに気付きました。。。。

 

ということで、前回の続きです。犬と猫の皮膚病は違いますよ、というところまででしたね。

犬と猫の皮膚病は、お互いに”痒み”、”脱毛”という主訴で来院されることが多いという点では

同じですが、その診断アプローチや見た目の症状、原因、科学的にわかっている事などに関

しては、ほとんど異なります。

犬の場合、それぞれの皮膚病に対してだいたい特徴的な皮膚症状があり、年齢、犬種、経過

などを加味していくつかの皮膚検査を行うことによって、比較的容易に確定診断できることが

多いです。

しかし、猫の場合、犬に比べて診断のための情報量が少なく、そのせいで確定診断するまでに

いろいろと考えなければならないことが多くなってしまい、犬よりも難しくなります。

そしてもう1つ、これが最大の問題なのですが、診断がついてもお薬がうまく飲ませられない、

お薬を嫌がる、飲ませるまではいいがよだれだらだらになる、試したいフードを食べてくれな

いといった、猫がこちらの治療を受け入れてくれないということが治療をさらに難しくさせる

要因となることもあります。また、基本的に水を嫌がることが多く、シャンプーなどを使用した

スキンケア療法も困難となることが多々あります。ただし、猫の場合、犬のようにシャンプー

療法に対する有効性が検討されてはいないので、積極的に治療に組み込むことは少ないですが

皮膚糸状菌症などの感染症の時にシャンプーしたいなと思ってもなかなか大変でできなかったり

することがあります。

 

皮膚は、眼で見て症状を確認できる数少ない臓器の1つです。ですので皮膚の見た目の症状という

のは、診断にたどり着くための大事なヒントになります。

猫の痒がる皮膚病の場合、このヒントが犬に比べて少なく、たった4つのパターンしかありません。

専門用語なのでちょっと難しい言葉になりますが、頭頚部搔破痕、外傷性脱毛(自己損傷性脱毛)、

粟粒性皮膚炎、好酸球性肉芽腫群の4つの症状です。

猫では、皮膚病と皮膚症状が1体1対応にはなっていません。つまり、病気の原因が違うのに

見た目の皮膚の症状は同じかほとんど似ていることが多いので、見た目だけで皮膚病の原因を

推測する事が難しくなります。4つの皮膚症状それぞれに対して考えられる皮膚病をリストアップ

して、そこから鑑別、除外して診断していかなければなりません。

この皮膚症状のバリエーションの少なさのせいで、犬の皮膚病のように見た目の症状からの

皮膚病の原因の推測がしにくいということが、犬よりも猫の皮膚病の診断を難しくさせている

原因の1つでもあります。

 

まだまだ、書きたいことがあるのですが長くなりそうなので、今回も数回に分けてご紹介したい

と思います。それでは、続きはまた次回までお待ちください。

 

森の樹動物病院は、鹿児島で犬猫の皮膚病、アレルギー性皮膚疾患などの痒みのある

皮膚病の治療に力を入れています。

霧島市以外の遠方でも診察ご希望の方は、一度お問い合わせください。

なお、皮膚科診療の初診は、時間がかかるため予約制とさせていただいております。

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お話とお薬の処方のみとなることもございますので予めご了承ください。