大村先生

[2017年08月05日]

今朝、一時的に雨風すごかったですね!現在、台風は北の高気圧の影響のため屋久島

あたりをノロノロ北上中みたいです。奄美大島では記録的大雨みたいですね。現地の

みなさんは災害に十分気をつけてください。明日朝くらいには鹿児島本土上陸みたい

なので今から外の飛びそうなものの片付けをしなきゃと思っているところです。

 

話は変わりますが、先週28日霧島市市民会館で、2015年にノーベル生理学・医学賞

を受賞された北里大学特別栄誉教授の大村智先生の講演がありました。

聞きに行きたかったのですが、知ったのが1週間くらい前で診察時間とかぶっていたため

急に病院を空けるわけにはいかず、断腸の思いであきらめました。

大村先生の意向で若い人たちにも話を聞いてもらいたいとのことで、中高生中心に300人

くらい集まったみたいです。大村先生の経歴はノーベル賞受賞時にテレビでもだいぶ出てい

たので省略しますが、定時制高校の教諭をしていたときに油まみれの手をした学生が夜間

一生懸勉強している姿をみて一念発起し自分も再度勉強しようと研究の道に入っていったと

のことです。

 

先生の発見したイベルメクチンは世界中の人々や動物たちを苦しめていた様々な寄生虫疾患

から救いました。創薬の世界では、生涯に一つでも薬にできる成分を見つけられた研究者は

幸運だと言われるほど、化学物質を発見して実用化することは難しいことだそうです。

大ヒット商品と言っても過言ではないイベルメクチンを発見したということはもちろん素晴ら

しいことですが、私が大村先生のことをすばらしいと思うのは、このことことだけではありま

せん。

 

大村先生は開発した治療薬の商用利用で得られる特許ロイヤリティの取得を一部放棄し、WHO

を通じてアフリカや中南米などに無償配布することに賛同しました。このことが熱帯地域に住む

人々述べ10億人以上を風土病などから救うことに繋がりました。

研究活動を行っている研究者の目的は様々だと思います。自分の知的好奇心を満たすため、地位

名声を得るため、人の命を救うため、お金のため、社会貢献のため、単純に仕事として、…

人それぞれなので私はどれも否定はしませんが、実際に大きなお金が動くような成果が出たときに

大村先生のようなことはなかなかできないのではないかと思います。

”人の役にたってこその科学者”ということを先生がどこかで言われていました。

この言葉に先生の人柄がにじみ出ているようにも思えますが、このような先生の考えは幼少期の

おばあちゃんの存在が大きく影響しているそうです。

また、大村先生は研究活動だけでなく、自身の所属されている北里研究所の経営も建て直し、

研究助成や研究所運営などを通して若手研究者の育成、教育活動にも力を入れてきたそうです。

地元の山梨でも山梨科学アカデミーという公益社団法人を立ち上げて子供たちに科学への興味を

持たせるような人材育成活動もされています。

 

私の大尊敬する後藤新平先生の言葉に、「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする」

という言葉があります。「金を残して死ぬのは下だ。事業を残して死ぬのは中だ。人を残して

死ぬのが上だ。」という意味ですが、まさに大村智先生は、事業も残し人も残しています。

事業を大きくし残すことまでできる人はそこそこいますが、人を残すという事までできる人は

そうはいません。

28日に大村先生の公演を聞いた中高生の中から、将来”大村SPIRIT”を持った人の役に立てる科学者

ひいては未来のノーベル賞受賞者が誕生したら、すばらしいことですね!