WARNING !

[2017年07月25日]

数年前からすでに話題になっている”SFTS”ですが、皆さんもご存知ですよね。

以前、私のブログでも紹介させてもらいましたが、重症熱性血小板減少症候群という日本名で

ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるウイルスによるダニ媒介性感染症です。

感染すると6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などの

消化器症状が認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹

皮下出血や下血などの出血症状などを起こす病気です。死者もほぼ毎年出ています。

治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはありません。

 

昨日24日、西日本の50代女性が野良猫に咬まれた後にSFTSを発症して死亡したとの報告

が厚生労働省から発表されました。今まではダニ媒介性ということで、山菜取りなどに出かけて

山などの草地に生息しているマダニに直接咬まれることにより感染するといわれていましたが、

今回は哺乳類から感染したとみられる世界初のケースということでした。

みなさんご存知だったかわかりませんが、実は今年に入ってペットの犬や猫での発症も1例ずつ

確認されていました。

今回の厚労省の発表を見てみると、女性が亡くなったのは昨年の夏で残っていた組織を検査して

今年初めにSFTSと確定診断したということでした。私的には診断までに結構時間がかかっている

ことにちょっとびっくりでした。検査法を詳しくは知らないのですが、病原体がウイルスなので

PCRを用いて遺伝子を検出する方法か患者の血液があればペア血清を用いた抗体を検出する方法か

組織自体からウイルス抗原を検出する方法のいずれかかなと思いますが、こんなに時間がかかる

んですね。組織をとっていたということは臨床症状から疑いをもっていて検査を継続していたか

発表前にきちんと確信をもてる結果が出るまで時間がかかっていたのか、どうなのでしょうか?

報告をみると、発症後10日で死亡したとありますから病院に行って亡くなるまであっという間

ですからね。

 

報告を詳しくみてみると、この女性が弱った野良猫を動物病院に連れて行くときに咬まれて発症し、

女性がマダニに咬まれた形跡はなかったとありました。最初に猫がSFTSをもったマダニに咬まれて

感染し、女性に移したと考えられるということでした。

これは私たち獣医療関係者にとってもかなり脅威ですね。私もある程度経験値が上がって大分咬ま

れることも少なくなってはきましたが、犬や猫に咬まれるのはある意味職業病みたいものなので

これからは今まで以上に注意して扱わなければいけないと思いました。

すでに厚労省から獣医師会に体調不良の動物と接する際には注意するように通達が出たみたいです。

 

犬、猫を飼われている方も要注意です。飼っているペットにはしっかりと駆虫薬などを用いてダニ予防

をしてください。また、弱った野良猫を保護される際は咬まれないように十分気をつけてください。

保護しようとする野良猫が子猫であっても攻撃的な子猫もいますので要注意です。

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